完全受注漁とは?富永邦彦 さんの手法や例に学ぶ新しい漁のかたち

 

以前、「サラリーマン漁師」という、「サラリーマン」と「漁師」という今までのイメージではお互い相いれない言葉が並び、繋がった仕事の形態がニュースになりました。

 

同じ漁師さんですが、今回は「受注」漁師さんというこれもまた耳慣れない漁師さんの形態がニュースで流れました。

 

しかも、「完全」受注なんだそうです。

 

漁師さんという職業でどのように受注対応しているのか?

なぜそのような事を始めたのか?量を取り巻く環境など気になり調べてみたのでご紹介しますね。

 

 

完全受注漁とは?

その名の通り、お客さんから注文を受け、必要な分だけ漁をしてお客さんに届けるというものです。

しかも、獲れた魚をお客さんに届ける発送業務などもご自身自ら行っているそうです。

 

通常、漁師さんが獲った魚を消費者に届ける場合、仲卸さんを通して届けるのが今までのやり方でした。

 

今回の漁師さんの場合は、「受注」というだけでなく、お客さんに届ける段取りの面においても、今までの方法を変えることになってるようですね・

 

 

完全受注漁とは?富永邦彦 さんの手法

今回ニュースで取り上げられました「完全受注漁」という形態を始めた富永邦彦さん。

どのような方法で行っているのでしょうか?

 

以下のURLから富永邦彦さんのサイトがご覧になれます。

永邦彦さんのサイトはこちら 

   ↓

poke-m.com

 

 

普通すーぱーなどでお魚を買う場合は、自分が食べたいと思った魚だけを

選び買ってきます。

 

しかし、「完全受注漁」という形態での量をしている富永邦彦さんの場合は

その面でも少し違うようです。

 

どう違うのかと言いますと、富永邦彦さんは注文を受けた場合、『水揚げした全てのモノ』 をお届けするという方法のようです。

ですので、状態の良いものは3分の1あるかどうかということ。

注文する場合はそのことへの了承が必要になります。

理由は、必要以上の魚を取ることによる魚の資源への悪影響を考慮してのことだそうです。

 

永邦彦 さんの手法のメリットは?

前述のような、

「『水揚げした全てのモノ』 をお届けする、状態の良いものは3分の1あるかどうかということ。」

ということを考えると、消費者側としてはあまりメリットは無いようにも感じられますよね?たくさん送られてきてその中のおよそ3分の一しかいいものがないとなりますと。

ですが、魚の鮮度が良いこと、そして価格がスーパーとほぼ同じことがメリットしてあげられます。

それが消費者に受け入れられている理由かもしれません。

漁から港に戻ると、妻の美保さんとすぐに鮮度を保つ処理を行い、発送準備に取り掛かります。そして、その日のうちに全国の顧客のもとへと発送します。

「スーパーとあまり変わらない値段で、エンドユーザーさんに届くようにはなっています。それこそ直送なのでバチバチに新鮮な魚をスーパーと同程度の価格で買えるっていうのは、めちゃくちゃメリットかな」

 

 

完全受注漁を始めたのはなぜ?

 

永邦彦 さんが完全受注漁を始めた理由はいくつかあるようです。

 

通常の漁の場合、いつどうなるわからないため、獲れるときにできるだけ獲るという考えのようでした。

しかし、その一つが水揚げも減ってきたので、『未来に残すことが持続可能な漁業』かと思うようになりました。

実際、下のグラフのように漁獲量が減少傾向にあります。

原因はやはり需要にこたえるための乱獲のようです。

出典:http://feis.fra.affrc.go.jp/event/7th_forum/7th_forum_h29houkoku/01_sakaji.pdf

 

受注漁でも大丈夫?儲かるの?

前述のような、海の資源の将来への配慮という考えは素晴らしいです。

しかし、漁師さんとして生計を立てることも大事だと思うのですが

受注漁で生活に必要な儲けが出せるのでしょうか?

その点に関しては、受注漁に変更する前と同じくらいの稼ぎがあるようです。

その理由はいくつかあるようです。

仲卸を介さない消費者との直接取引になったことで販売単価が上がったこと。

漁に出る回数が減ったことで燃料費などの支出が抑えられることなどだそうです。

 

下のグラフをご覧いただいてもお分かりいただけますように

漁師さんの経費に占める燃料費の割合は約3割と大きいものになります。

出典:https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/208632.pdf

金額例として多い人で200リットル使うという漁1回あたりの燃料費は、一回当たり21,000円(軽油 105円として)もかかることになります。

近年、漁獲量がなかなか上がらない中で、コロナ禍で需要が低迷し、魚の価格が下がりました。

そこに追い打ちをかけるようにやってきた燃料費の高騰で、漁に出ても割に合わない状況に陥っています。

そのため、漁の回数が減ることでの燃料費の支出減も大きな理由の一つのようです。